三枝祭

うすら紅させる笹百合まばらにて
三輪山の豊年講の百合まばら
ささゆりの三輪のうま酒もる樽に

「ささゆり」という。

大神神社の笹百合

6月17日奈良市の率川(いさがわ)神社の例祭「三枝(さいぐさ)祭(別名ゆり祭)」に捧げる百合である。
名前の通り、葉が細く笹の葉のようであることから名づけられた。花は小振りで、全体に薄紅色をしておりやや俯き加減に咲く。
祭神の「媛蹈韛五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)」はかつて三輪山の麓の狭井川(さいがわ)のほとりに住まいしていたので、酒樽に三輪の笹百合を飾って届けるお祭りが行われるようになったと言われている。
前日には祭に用いられる笹百合を三輪山から奈良市の率川神社へ届けられる神事があり、「大神神社豊年講」の農家が育てた笹百合が用いられる。
笹百合は一時絶滅しかけたが、こうした有志の努力もあって途絶えることなく育てられ、大神神社の一画の「ささゆり園」では時期になると一般に無料公開される。

梅雨の晴れ間を利用して見学してきたが、神社の斜面を利用した周遊回路を巡りながら身近に見ることができた。ただ、いくぶん最盛期を過ぎたせいだろうか一面すべてが百合というわけではなく、梅雨湿りした斜面は露を含んだ十薬などの草も広がっている。
祭の本番に使われる百合は農家が別に育てたものを献納するのだろう。