退散

短日の闇が山から足許に

日の入りが早くも午後5時より早くなっている。

すぐ西に山があるので実際の夜はもっと早く、暮れたかなと思うまもなくあっという間に足許が暗くなる。
うっかり立ち話などしてようものなら、やりかけもそのままに片付けの暇もあらばこそということになる。
暖かい日はそれでも余裕があったが、闇とともに寒さも降りてくるので慌ただしさといったらない。
脱いでいたものを再び着込んで退散だ。

網膜に焼き付ける

短日や小屋に口籠もるご神鶏

室生無山(むやま)の西光寺の樹齢450年の銀杏が見事だというので午後から出かけた。

山の中腹にあるので、駐車場から坂を登るとそびえるように大銀杏が黄葉している。
半ばは散ったとみられ、境内への石段、境内、築地塀にはびっしり落ち葉が敷いている。
南天にも降り積もって、赤と黄のコントラストが美しい。
周囲を見渡すと、見事な雑木紅葉の山が視界を占める。このあたりは植林をしない山がほとんどなので、里は紅葉紅葉の世界に包まれている。

網膜の神経が赤と黄に麻痺したかと思うほど堪能したついで、市の木ともなっている天理の銀杏並木を見てみようということになった。10年ほど前から、かつて強剪定を続けてすっかり樹勢が弱ったのをあらため、間引き剪定に切り替えたら見事に復活したということだった。すでに4時を廻っていたが、せっかく天理に来たので最後は石上神宮へ。家人に神鶏の烏骨鶏などを見せるためだが、普段なら境内を闊歩しているのが見当たらない。
声のする方へ行ってみると、すでに鶏舎におさまったあとで、暗くなった小屋の中にうごめく影がある。夜はおとなしく保護されているようだ。
終日曇りでただでさえ日暮れが早く感じるのにくわえ、鬱蒼とした参道、境内には灯籠に灯が点り、参拝客はもうまばら。
日は二上山よりずっと南に沈み、初冬の趣きを濃くする夕刻である。

植物もいっしょに

短日や鉢に水遣る夕まぐれ

明日はいよいよ引越しだ。
ともに連れてゆくランや観葉植物などにたっぷり水遣りをしたのち、段ボールに詰める作業をしていたらすっかり日が暮れてしまった。
葉が伸びて高さがあったりするので段ボールに蓋はできない。並べてみると結構ボリュームがあって、平置き積みにするというトラックの相当な場所を占めそう。
着いたらすぐに楽にしてあげるからね。