秋の雷鴉の帰心矢のごとく
南のそらに休息に黒い雲が発達してきた。
すぐ近くに雷が走ったので撤収と決めたが、夕刻にはまだ時間があるというのに暗くなった空を見ると塒をめざす鴉の群があった。いつもの八幡さんの杜へ帰ると見えて一目散の様子である。
鴉など動物たちには人間も及ばない危険察知能力があると聞くが、まさにこうした行動が証明しているように思える。
帰り仕度をすませて自宅へ急げば、案の定大粒の雨が降り出して、あやうく全身濡れ鼠となるところであった。
鴉にしてみれば大事な羽根が濡れて羽繕いも大変だったことだろうが、一足早い決断によって濡れずに済んだことであろう。