牛乳パック

満月の良き日を選び種蒔けり

古来農法では種蒔きは満月前後にすべしと言われている。

満月の引力によって土中の水位が上がるので理には適っている。
逆に新月のときは苗を定植するに適しているとも言う。苗が水を求めて深く根をはろうとするので活着がいいという理屈である。
次回の満月は3月4日になるのでその前後に種を蒔くのがいいわけだが、この時期はまだ寒くて直接畑に蒔いても発芽は難しい。地温が十分上がってくるのを待てばいいのだが、少しでも早く植えたいとなると今のうちから温床を用いて苗作りすることになる。五月連休頃にはホームセンターには花や野菜の苗がわんさと並ぶが、これらはほとんど温室や温床によって育てられたもので、露地で育ったものではない。
というわけで、今年は一本ネギをやってみようかと思い室内で発芽させようと数日前に牛乳パックに種を蒔いてみた。どうやら明日あたり針のようなネギの赤ちゃんが顔を出しそうである。
ところで、「種蒔」という季語は厳密には種籾を蒔くことであるが、近年は春に花や野菜などの種をまくのにも用いられるようになった。近ごろは農家でさえ自分で苗を作らなくなって農協などに発注するような時代だから、一般家庭で種籾を蒔くこと自体廃れてしまっているわけである。