うそぶく

肌脱ぎてかつて自慢の胸の板

ちょっと動いただけでべたべたした汗がつきまとう。

典型的な日本の夏の暑さである。こんな辱暑と言っていい時期にやれインバウンド、アウトバウンドだと言って観光にくる外国人も驚いているのではなかろうか。
旅行などとんと縁の薄くなったこちらには近所へ出るだけで滝汗が流れて往生してしまう。
家に戻れば誰はばかることなく上半身裸になって身拭い。そうして濡れタオルを羽織ったまま気化熱という奴を肌で感じる半時間ほど。みるみる火照った体が覚めていくのを感じながら極楽、極楽。
鏡を見ればよくよく胸の筋肉も落ちて、これが老残の醜ささとうそぶくものの。