あと少し

臘梅の先に顔ある自撮かな

花の便りがいろいろ届き始めた。

庭の水仙はいつの間にか消えてしまったが寒梅も見られるし沈丁花のつぼみもしっかり確認できる。ユキヤナギはフライング気味に狂い咲きしたり、さらに野にはとっくにホトケノザが顔を出してもいる。
これより一週間ほどは寒波がきて雪の心配もあるようだが、すでに春の兆しをあちこちに感じているので少しの辛抱であると気持ちはその先に飛んでいるのである。

小寒

臘梅に人來て人の寄りにけり

曇天に影もなく臘梅の形はそばに近づかなければよく分からない。

いつの間にか臘梅が咲いていたのだが、まだ咲き始めたばかりとみえて匂いは全くない。鼻を近づけてもあの独特な甘い香りがないのだ。しげしげと眺めていると臘梅に気づいた夫婦もまた近づいてきた。
今日より小寒、つまり寒の入りだから野山には花が一番少ない季節である。一面枯れたなかにあってあの黄色い花は人目を引くのだろう。
最近は西洋タンポポが一年中咲くなど全く花がないわけではないが、やはり枯れたような枝に明るい花だけがついた臘梅は人の目を引きつけるのに十分である。

醸成

さきがけの臘梅の香に引き寄さる

冷たい風の中につんと刺激する香り。

臘梅が咲き始めたようだ。
ほとんどの芽はまんまるのままだが、一本の木に2、3粒程度開いている。
久しぶりに馬見丘陵を広く歩いたが、おかげでいろいろな句材があって詠みごたえある一日。
いろんな水鳥もいたうえ、斑鳩町のシンボルであるイカル君たちの群れにも遭遇したし、久しぶりにカワセミも見つけて寒い池も苦にならない。
目を上空に転じると猛禽、たぶんチョウゲンボウがかすめ飛んだり、高い木の天辺から風に散らされた木の葉が吹雪のように遠くに流れていったり、足下から身の回りすべてに材料が転がっている。
これらの感触を時間をかけて醸成すれば何とか句にはなりそうである。