花曇り

花の雲間引きダイヤの客ひとり

満開の花がむんむん。

くわえて一面煙のように薄い黄砂が漂っているので、花の下どころか見渡す一面ぼうっとかすむような花明かり。
見たところ花の峠は越えつつあるようで、これから落花、花屑の季節に移ろうとしている。
花の下で楽しもうという気にはなれない年であるが、町の至る所が花曇りであるのを体で感じるのも悪いものではない。

川幅佳し

佐保川の七分と見えて花の雲

不退寺へ向かう道筋の佐保川に出た。

毎年見事な花を見せてくれる名所で、七分咲きといったところだろうか。
きらきらと光る川面に幾分かの花片も流れているようだ。
もしかすると上流ではもっと咲き進んだのがあるかもしれない。
両岸の木から伸びた枝がふれあうばかりに花のトンネルをなして、川幅佳し、土堤よし、櫻佳し。
いいものを見ることができて、今日はそれだけで満足である。