八十八夜、夏近し

不織布を敷いて真白き苗代田

八十八夜だそうである。

夏のイメージだけど春の季語。立夏まではほんの数日だ。
調べたけどなぜ「夜」がつくのか、よく分からなかった。
旧暦と新暦を換算することなく、単に立春からの経過日数をいうわけだから分かりやすい雑歴といえるかもしれない。
通常なら五月二日ないし三日のところ、今年は閏なので五月一日になるそうである。なるほど、なるほど。
茶摘みのほかに、田の仕事も忙しくなる時期である。

久しぶりに散歩を兼ねて郵便局へ行ったときのこと。いつも苗代が切られる一角が遠目にも白くて、何だろうかと近づいたら白い不織布で畝を覆っていた。そのうえに鳥除けのテープがキラキラしている。
このあたりの田植は夏至頃だから、こんなに早く種まきをするとは思えないのだが、やっぱり播種を待つているのだろうか。

夏の籾まき

水を引く手筈整ひ苗代田

田植えの遅い地域だけど、苗代田の準備だけは万端整っている。

水口を囲むように、田の2,3坪ほどの部分に見事な畦塗りがほどこしてあり、畝も平らに均されている。いつでも籾を蒔ける状態なのだが、この地区の水は山の水を溜めた池から一斉に放たれるまで水は来ない。いつになったら蒔くのかと興味あるのだが、毎日通りかかるわけでもないので、気がついたら苗が育っていたという風である。
6月中旬田植から逆算すると、播種は5月も下旬というところだろうか。
苗代というのは歳時記に採録されているのは春だから、相当遅いと言える。