苗売の言ふままあれもこれも買ひ
ゴールデンウィーク中のホームセンターの混み様はただごとではない。
DIYコーナーもそうだろうが、園芸コーナーのことである。野菜や花の苗もその種類や数は普段の倍以上もあろうかというくらい並べ立てられ、みんなバスケットに次々に放り込んでいく。
よく行く園芸店はとくに野菜苗のいいものが揃ってるというのが評判で、中国まで指導に出かけるという店主のアドバイスも菜園初心者にはありがたい。話を聞いてるだけでもう収穫が約束されたも同然のような錯覚にとらわれてしまうので、ついあれこれ前後の見境もなく苗を買ってしまい、買ってしまってからどこへ植えるのがいいのか頭を抱えてしまうのである。
素人の菜園というのは、言ってみれば宝くじのようなもので当たれば儲けもの、虫にやられたり病気になったりしてなかなか店で売ってるようなものというのはできないもので、収支損益など考えてたらとても成り立つものじゃない。趣味だからこそ、菜園を賃借することから始まり、やれ鍬だ、肥料だ、支柱だ、トンネル用シートだ、苗キャップだの、あげく一株何百円もするような苗を平気で買うのだ。そういう趣味のものだからこそ、苗を選んだり、栽培方法をネットで調べたりすること自体が楽しくてならないのである。