雨あとの草みな伸びて茄子の花
ひと雨で景色が一変する。
庭もそうだが、耕作放棄地などにはどこも夏草がぐんと背を伸ばしている。たくましいと言えばそれまでだが、農耕をはじめてこの方、人類と草とは永年の戦いの歴史がある。草を抑えなければ作物はできないし、農業とは草との折り合いの歴史そのものであると言ってもいいだろう。
鎌などの農具も近代までは古今東西を問わず同じようなものが誕生している。現代はずいぶん近代化、機械化されてより迅速に、より短時間に、大量の作物生産が可能になった。
政府は大規模化を目指しているようであるが、零細な、細分化された農地が多いこの国ではたしてそれだけで農業再生ができるかどうか。見放された土地の荒廃がさらに進むだけのように思えてくるが。
インドを原産地とする茄子は水をもっともほしがる。雨がつづいて茄子の花がさらに増えたような気がする。