小六月

鳩五羽の束の間落穂ついばみし

いっぱい落ちているからと言って長居はしないようだ。

掛稲がその場で脱穀されて藁くずが積み重なるようになった田に、今日鳩が降り立ってしきりに啄んでいる。どうやらそのなかに落ち穂がいっぱい残されているのだろう。
昨日今日と小春日がやわらかく日が当たる時間は心地いいほどだが、まだまだいい天気はつづきそうである。小六月とは言い得て妙である。平和な光景に心和んだが、明日もまた落ち穂めざして鳩がやってくるかもしれない。

晩鐘は鳴ったか

夫の刈るそばから落穂拾ひゆく

夫が鎌で稲刈りをしている。

最近はほとんどが機械刈りで、穂ごとすくい上げてしまうせいか落ち穂拾いという光景はとんと見かけなくなったように思う。やはり手刈りとなると落ち穂も多いのだろうか。夫がまだ稲刈りに余念がないあいだ、妻はせっせとこぼれた穂を拾い集めている。
これ以上は獣たちの好きにはさせないぞとでも言うように。