人の営み

沢水の零るるところ著莪の花

乱れ咲き沢になだるる著莪の花

よく手入された杉林の裾一面が著莪の花で覆われている。

山から沁みだした水を受けた樋からはほとばしるように飛沫があがり山水が小流れに導かれてゆく。一方、ありあまった水は沢をうがち、その沢になだれ込むように著莪の花が乱れ咲いているかと思うとそのまま高見川へと咲き降りてゆく。

著莪はかなり古い時代の帰化植物だそうである。人工林である杉山に生えているということは、なによりここには古くから人の生活があったという証なのである。

著莪の咲くすなわち人の営める

あやめ科

著莪叢や木漏れ日かかる麓かな

甘樫の丘。

東側の登り口に休憩所があるのだが、その前庭にはみごとな著莪が群れている。
あやめ科らしいが、黄色の斑が強いせいかどこか西洋じみた色合いでバタ臭さがある。
もともと自生する力をもたないので人の手を借りて植えられたものとされる。
万葉集では著莪は詠まれていないので(googleは便利だね)、飛鳥の時代、ここには咲いていなかったのは間違いない。