駆除

おずおずと前歯で検し薬喰

寒餅搗きを兼ねた新年会。

見事な鹿肉の差し入れがあって、これが癖もなく意外にうまかったのだ。
肉は赤身がかって、存命なりしは山野を走り回っていた若い肉体をしのばせる。
猪肉や鹿肉などいわゆるジビエ料理が人気だが、今ひとつ好きになれないまま敬遠していた自分がいる。
ただ今日は、せっかく持参してきてくれた好意をおもんぱかって一口前歯で様子を見させたら、これが意外にいけるのであとは奥歯の出番とばかり、相当な量をいただいた。
ところで、奈良公園は柵がないので、保護すべき天然記念物の神鹿と野生の鹿をどう区別するのやら分からないが、最近作物被害がひどいと言うこともあって周辺の野山で駆除されているものがある。
県自体がジビエ料理を推進していることもあって、猪や鹿などちっとも珍しくなくなりつつあるが、そうなると希少性が薄れたジビエ人気というものがやがて褪せていきはしないか。そんなことも頭をかすめるこのごろである。