周波数

篠突ける雨を切り裂け虎落笛

すさまじい風雨である。

たまに冬の雷も混じって大荒れの一日となった。おまけに気温も十度に満たず真冬の心地である。
とうぜん暖房は朝から一日中入り、猫どもはときに雷に怯えながら暖を求めて集まってくる。
断熱、防音の効いた窓だが、すこし窓を開けただけで風が切り裂く音がひゅーひゅーと聞こえてくる。それは長く尾を曳くような、まるで電車が走り去るとでも言おうか、ふぁーんふぁーんとも聞こえてくるようだ。
五百メートル先に近鉄が走っているので聞き違いではないかと耳を傾けるが、ずうっと鳴っているのでそれは風の音に違いない。
その源はどこにあるのかよく分からないが、北風が強い日にはよく同じ音が聞こえてくる。窓を叩く雨の振る音とは周波数が違うようで、はっきりと聞き分けることができるのだった。

殯の叫び

二上山の闇夜に尖る虎落笛

すさまじい風である。

車体ごと持って行かれるような風にしぜんハンドルをしっかり握ろうとする意識が高まる。
昼前頃からだんだん強くなってフロンドウィンドウを枯葉だのポリ袋だのが叩きつける。夕方にはもう飛ばされるものはおおかた飛んでしまって、フロントガラスを叩くものはすっかりなくなったくらいだ。
飛鳥の小原の里では竹林の孟宗が45度くらいにまでしなって、すさまじい轟音をたてる。対面に見える二上はいつもより山容がすっきりと見えて、この虎落笛は皇子が眠る山への「もがり」の叫びでもあるようだ。
下校中の中学生らが雨が止んでいても傘を広げて自転車を漕いでいるのを見た。どうやら、傘を帆に見立てて風に押してもらおうというらしい。いかにもこの年頃の子なら考えそうな遊びである。
今夜までまだしばらくはこの風は収まらないようである。

誕生日

阿弥陀くじたどるよな路地虎落笛

東西に数本走る路地と南北に何本も走る路地とが織りなす街。

ただ、南北の路地と東西の路地とが交差する部分がそれぞれ微妙にずれていて、まるで阿弥陀籤(くじ)のはしご状になっていると言えばイメージしていただけるだろうか。王寺駅北側の旧市街のことであるが、阿弥陀籤の南から北へジグザグにたどってゆくと大和川にぶつかることになる。

昨日に続き今日も強風。若草山の山焼きの日であるが、今冬一番の冷え込みだというし、風が強くて花火や火の手がどうかという心配もあって結局見合わせることにした。あとはローカルニュースで確認すればいいことだし。(強風でも実施決定とか)