天敵

帰りには蟻引く蚯蚓の姿なく

蚯蚓どころかなめくじがさかんに這い回っている。

三日も雨が続けば当然だろう。
蚯蚓が迷い出てくるのは、どちらかと言えば天気がよくて暑い日である。
出てきたのはいいけれど、灼けた舗装路だったりタイル貼りのアプローチなら大変だ。そこらに干からびて惨めな姿をさらすことになる。灼けてなくても、蟻という大敵がいる。
多分、多少は弱ってるやつが狙われるんだろうけど、蟻のパワーには勝てないらしい。何処にそんな力があるのかと思うが、獲物の姿を埋め尽くすように寄ってきたかと思うと、いつの間にかどこかへ運び込まれてしまう。

人もまたこの世の主と思っていたら大間違いである。天災にはかないっこないし、何より自ら生み出した化け物、怪物に苦しむ人たちがいることを忘れてはなるまい。

肥えた土

養生の甲斐あり蚯蚓育つ土

山土を入れただけの庭は本来何も育たない。

山を削って運んできた用土というのは栄養分がないからだが、それでも2,3年経てば雑草の種が飛んできて芽を出してくる。そうならないように庭木や花を植えて形を整えるわけだが、そのためには腐葉土や堆肥をすき込まねばならない。
すると、それらの有機成分を微生物が分解したり、やがて蚯蚓なども増えて分解を一層促して、いわゆるふかふかの肥えた土になる。
だから蚯蚓が育つ土は植物にとっても快適な環境とも言え、土がいいかどうかは蚯蚓の有無によって判断できる。

手で引いてられないくらい雑草がひどいので、鍬でもって根こそぎ起こしてやろうとしたら、可哀想にもちょん切られたミミズ君が何匹も踊り狂うことになった。ようやく庭の土も肥えてきたのはめでたいが、ますます雑草との戦いに明け暮れしなければならないと思うと気が重い。