丸眼鏡かけて

褞袍着て物書きにでもなった気分

「どてら」。関西では「丹前」が通称とか。

かつては、自宅はもちろん、宿でも寝間着の上に羽織ったりして旅情があったものだが、今やもう、よっぽど山深い湯宿でくらいしかお目にかかれなくなった。
家も随分よくなって、すきま風は入り込まないわ、暖房がよく効くわで、重たい綿のどてらなどとうに駆逐され、フリースやダウンの部屋着にとって替わられた。

伊豆の宿などで、丸眼鏡に褞袍着て炬燵にでも入って落ち着こうものなら、ちょっとした文豪気分にひたれるかもしれない。