一足飛びの春

野梅もて道を照らせる飛鳥かな

もう春である。

一歩外へ出れば景はもう春だと強く感じた日であった。
探梅どころか、飛鳥の白梅は曇りにもかかわらず満開で眩しいくらいである。
こうなると、冬の季語より、春の季語を探す方が早いかもしれない。

枝垂はまだかいな

段丘を屏風に野梅開ききる

「野梅(やばい)」とは梅の種類であるが、俳句ではもちろんそんな厳密な使い分けはしない。

つまり、品種、色、形などは問わず、「野」にあるごとき「梅」を指すようである。したがって、梅林とかきちんと専門家が手を入れた、管理された梅とは異なる、ちょっと距離をおいたものを漠然と言う場合に使われることが多い。

そう言えば、うちの白梅はだいぶ開いてきたが、紅の枝垂梅はいつもより花期がずれてまだ蕾は固そうである。