法隆寺西円堂へ

斑鳩の堂宇みな寂び金鈴子

今日も寒かった。

斑鳩はときおり修学旅行生もくるが観光客はまばらである。
西の端っこの西円堂はもっと閑散としている。

法隆寺の東院西院を巡って裏手に回ると、法輪寺前には大きな栴檀の木。葉っぱもみな落ちて、栴檀の金色の実が鈴生りで、斑鳩の錆色とは好対照。
俳句も今日はちょっとさぶい。

秋空のアクセント

築地塀の筋の真白に金鈴子

表紙の写真である。

東大寺戒壇院の中庭は栴檀の大木が数本あって、五線の筋塀の外からもよく見える。
四天王立像で知られる戒壇院であるが、中庭の砂壇も見もの。さらに門に被さるように立っている栴檀の初夏には花樗の薄紫、夏には木陰、秋の金鈴子も見逃してはいけない。

この金鈴子に合わせて訪ねるのはなかなか難しいが、今年は折良く巡り会えることができた。
葉がすっかり落ちているので、本堂の正面から横手に回っても、名前の通り金色の実が文字通り鈴なりなのがよく分かる。

秋晴れの空を背景にすると、黄色い実は金というより白金のようにも見え、いよいよ輝いてみるのだった。