慎ましい

風なくば誰か知らまし銀木犀

十月の半ばになっても香りが届かない。

だから、今年は咲かないのかと思っていたのだが、今日急に甘い香りが漂ってきた。
経験的に木犀と言えば九月末頃というイメージがあるので、十月も二十日近くに咲くというのはやはり今年の九月の異常な暑さがかかわっているのだろうか。
それにしても銀木犀のこの控え目な香り。つねの花よりはもちろん甘いのだが、金木犀に比べればほどほどの甘さと言おうか、嫌みのない、癖のない香りが好ましい。
もしも風が運ばなければ気がつかないほど、慎ましいのである。

金と銀と

控へ目といふもこの香は銀木犀

ここ数日庭に出るとかすかに甘い香りがする。

風向きによるのだが、風下になるときしか香りが届かない。
いわゆる、一般に木犀と呼ばれる「金木犀」に比較して「銀木犀」の香りは控え目だからである。
昨日はいつもの散歩コースでそこはかとなく漂う甘い香りに思わず周りを見渡したが発見できずじまいだったが、今考えるとあれは間違いなく木犀のものだったのだと。
地方によってはまだのところもあるようだが、当地はすでに木犀日和、木犀の季節となった。