後にも先にも

しらじらと深山泊まりの天の川
しろじろと砂子刷きたる銀河かな
銀漢に射られ二三歩後ずさる
まなうらに銀河の砂子持ち帰る
鼻先にひたと銀漢起ち上がる

昨夜風呂に入ってると花火の音がした。

7月最後の土曜日は恒例の町の七夕祭りで、いつものフィナーレを飾る花火だ。
朝から雨がちで、やはりこの時期星空を望むのは難しいようだ。
星空といえば、子供たちが小さい頃蓼科に近い山荘に泊まった時の夜、圧倒的な夜空の星に一同言葉をなくしたことがあった。
星屑が鼻先にまで迫ってきて、目眩がするくらいである。星屑というにはあまりの数で、星座すら見分けがつかない。もちろん、どれが天の川やらも暫くは判然としなかったが、どうやら空の真ん中をぼんやりと白く横切っているのがそうであるらしい。
以来、あれほどの星空は後にも先にも見たことがなく、天の川といえばあの凄味すら伴う像がまなうらに浮かんでくるのである。