雛巡り、もう一つの楽しみ

筆すずり文箱にすます雛道具

今日は雛まつり。

この日を中心に、家や寺に伝わる雛を持ち寄ったり、各家に飾って観光客に楽しんでもらおうという催しが各地で盛んだ。
滋賀県では東近江市「商家に伝わるひな人形めぐり」、奈良県では奈良市法華寺「古代ひな人形展」、高取町の「町家の雛めぐり」など、ニュースにもよく取り上げられる。
いずれも古代雛が多く飾られているが、よくできた雛飾りには必ずと言っていいほど目を引く立派な雛道具も添えられている。
道具は、雛の大きさに合わせて原寸よりは随分小さいが、どれも良くできた細工にはほとほと感心するものがある。
聞いた話では、大店や大名家などでは豪華な雛飾りとは別に、「ご内証の雛」と言って個人で楽しむような小さなものを別に作らせたそうである。ここでは、道具も一段と小さく設えられ、禁制もかまわずに競うように贅をこらした微細な細工がほどこされたという。
古代雛のねびた表情を楽しむのもいいが、このような道具に注目して巡るのもいいかもしれない。