畏敬

雨乞の窟へ背負ふ薬師像

こんなに雨が多い年の兼題が「雨乞」。

どうにも皮肉な話だが、自分が出したこととて文句をいいようがない。
もはやなかなか見られない雨乞神事で、テレビで見たある村の年に一度の雨乞行事から着想を得て創ったものだ。
そのテレビでみたものは、村の各家から一人の男が出る決まりで、断崖絶壁にとりつき決落ちれば即死という死の行であった。
各家から出すわけだから、なかには相当年を召した方もいて、それは難行苦行。
こうまでもして百姓の村では水は命なのだ。
蛇口を捻ればばあーっと出る現代でも、昔を忘れず村人たちの自然に対する畏敬の念を思う。