降りみ降らずみ

つぎの日に雪消え残る真土かな

夜の間に降った雪が僅かばかり解けずに残っていた。

雪は芝や石の上に落ちても積もることはあまりない土地だが、今回は花壇や菜園など土が露出している部分に降り積もったようである。その理屈はよく分からないが、雪をふんわり受け取るような土の柔らかさや、逆に土が雪に保護されているかのようにも思えてくる。

今日も一日雪が降ったり止んだりする天気だったが、終日気温が低かったせいか夕方になっても黒い土の上に積もった雪は解けなかった。

当てが外れる

雪の景見んとて窓を開けてみる

予報では夜のあいだに雪が降り始め積もるはずだった。

当地に越して初めての雪の景色を一目見ようと窓のカーテンを引いてみたががっかりだ。雪などどこにも見当たらないばかりか、空も明るく今日は晴れる予感。

いっとき、晴れ間のうちに風花が舞ったのは救いであった。

見飽きぬ変化

大地打ち弾けてをりぬ小米雪
降り初めし雪の大地に弾みをり

今日は久しぶりに雪になりました。

二時間ほどで雨になり積もるほどにはいきませんでしたが、それでも初めは粉雪で土の上に叩きつけられるように降ってきて「こりゃ積もるかな」と思った雪が、やがて大きな牡丹雪に変わり、それがまた霙になったり雨になったり、間断なくいろんな姿に変化するさまが眺められて飽きないものがありました。

東や北の方では荒れた天気が続いているようですが、あまり雪のない地方に住むものにとってはたまに降る雪に、ある意味で生活の彩りを感じるものなのです。

優雅な舞い

風花の降りてたちまちかき消えぬ

今日は珍しく午前中の散歩。

カイツブリの今日は2羽連れ。
ぐっと冷え込んだ朝いつものように彼らの動きを見ていると、八尾・柏原の方角から黒い雲が覆うように迫ってくる。
予報によるとときどき雪らしいが、案の定狐の嫁入りの雨ではなく雪、つまり風花である。
綿のようなふわふわした雪が地面に落ちるとたちまち泡のようになって消えてゆく。
積もる程度でもないので、ゆらゆらと舞うように落ちてくるのをしばらく楽しめた。

寒さも今が佳境。すすんで寒さを甘受しようじゃないか。
さすればまもなく来る春の足音が聞き取れるかもしれない。

今日よりは ひとつ歳あげ 雪見舞ひ

今日はまた 歳を重ねり 雪の花

60代半ばに達したこの日、午後になって30分ばかり辺りが真っ白になるほどの雪が舞った。

パノラマを楽しむ

降り積もるほどなく雪の飛鳥かな

起きてみると快晴、ただ朝方雨が降ったらしく道路が濡れていた。
気象情報を確かめるとどうやら穏やか日和らしい。王寺の工場煙突の煙もまっすぐ上っている。
絶好の自転車日和である。

今日の目的地は明日香村。帰路を考えると現地で2時間ほどしかとれないので、甘樫丘、飛鳥京跡苑池、犬養万葉記念館だけと決めた。
たとえフルの1日があっても飛鳥の主要なポイントを全部見て回るのは到底不可能だ。
あの狭いエリアなのにである。
おそらく今年は何回も行くだろうけど、それでも周りきれないだろう。

甘樫丘から畝傍、遠くに二上山が望める。

橿原から飛鳥にかけては雪だったらしい。木立に残る雪をみながら甘樫丘を上ったが、展望台からの眺めはパノラマ。飛鳥や藤原京はもちろん大和三山はじめ金剛山系、生駒山系などの見通しがきく。天気もよいのでとても爽快である。
飛鳥は朝に降った雪がほとんど溶けていたが、後方の多武峰はうっすら雪化粧である。

飛鳥京跡苑地の一部。現在は埋め戻されている。左端は飛鳥川に接しており、一定水位を超えると川に放流されるようになっているという。高度な土木技術で、新羅系渡来人のものではないかと言われている。奥は甘樫丘。

10年ほど前の発掘調査で大規模の苑地が発見された。飛鳥京跡苑地と名付けられている。NHKで特集を見たことがあったので何をおいても見たかったのだが。
大津皇子の文字がある木簡が発見されたことから天武期のもので、伝飛鳥板蓋宮跡というのは実は長い間謎であった飛鳥浄御原跡であることが確実となったらしい。
追補)県では平成28年度を目処に整備公開するプランがあるようだが実現すれば、明日香の地理的理解がいっそう分かりやすくなるだろう。