熱波

風薫る坂をきゅきゅきゅとあんよ鳴る

手を引かれた幼児が坂を登ってくる。

よちよちするたびに靴がきゅっきゅっと鳴って、その覚束ない足元がかわいらしいので目を細めて見送る時間が長い。
今日は30度をはるかにこえて真夏日、しかも風も弱かったので日中の外は熱波で危険なほどである。夕方になっていくらか風も出てきたようなので幼児にもいくらか安心できそう。
外はいくらか過ごしやすくなったが、室内は昼間の熱がこもってさすがに扇風機だけではつらい。
冷房機に今年初めてのスウィッチが入った。

聞き逃し

空海の秘話聞くラヂヲ風薫る

窓を開けて走る快適な朝。

カーラジオのスウィッチを入れると空海の話しが流れてきた。聞き慣れた声だったのは、元奈良国博館長西山さん。今も帝塚山教授として、新聞連載やNHKのローカル番組でも「仏教よもやま話」などで奈良県民にはよく知られた先生である。
カーラジオの局は最近はもっぱらNHK第二放送と決まっていて、語学番組やら外国語ニュースやらを聞くともなく聞き流しながらハンドルを握っているので注意力が散漫になることもなく安全なのである。
今朝の場合はたまたま「カルチャーラジオ歴史再発見」シリーズだったようで、運転中だけではすべてを聞けなかったので聞き逃し配信で再聴取。車を降りても殘りをラジルラジルで聞き続けたり、なにかと便利である。
今日明日と暑さも抑え気味のようで、むしろ風などは涼しくて肌にもやさしい。明日あたりは庭の草取りなどの最後のチャンスかもしれない。

戒律道場の威厳

大修理終へし伽藍や風薫る

まさに堂々たる金堂である。

エンタシスの柱は接ぎ跡だらけだが、少しも古さを感じさせず、どっしりとした安定感は少しも損なわれることはない。
大修理というと、新しい姫路城が真っ白にお化粧直しされたように、ときに部材の新しさが目立ったりするものだが、ここ唐招提寺ではあたかも1,300年前のものがそのまま古びてそこにあるという印象だ。
まことに戒律道場に相応しい佇まいは大変好ましく思える。