鍬ふる手今日は二間の鮎の竿
鋤鍬を竿に持ちかへ鮎を釣る
和歌山県古座川は鮎の名所。
地元では70,80を越えたおばあちゃんでも自ら竿を振る。鮎の友釣りで鮎寿司をつくるのだ。
また、古座川に限らず鮎が豊富なこの地方では「あぶり鮎」といって、釣りたての鮎を火にかけて焼いたものを乾燥させ、これを料理の出汁に使う。絶品は素麺の出汁で最高の贅沢でもあるが、やや甘めの汁に仕立てると鮎自体の甘味がうまく醸し出されて、頭から尻尾までくたくたに柔らかになったものがいただける。
ちょうど、鰊そばのあのニシンの味付けをぐっと抑えめにした感じとでも言おうか、塩焼きや刺身の味からはとても想像できない、それこそ絶妙の味なのだ。
今はとても高価でなかなか手に入らないのが残念だが、昔はどこの家でもハレの日はあぶり鮎の出汁で煮た煮物が膳に上ったものだった。