道草

鳧の子の即かず離れぬ間合いかな

この時期になると大和川沿いの田や畑は賑やかな声が響かれるようになる。

というのも、雛鳥に呼びかける鳧(けり)の声が甲高く大きいからである。この声を聞くと近くに雛がいるんだなということがすぐに知れる。
ただし、雛は親のすぐそばにいるわけではなく、だいたいが10メートルくらいの範囲の草むらの中などに姿を隠しながら散歩しているのだ。そしてそれがまた道草が好きと見えて、いくら親が呼びかけても至ってマイペースでなかなか親に駆け寄ろうとはしない。
天敵などが襲ってきたらどうするんだろうとハラハラしながら見ているが、親もまた至ってマイペースで時々甲高く鳴いては辛抱強く雛たちを見守っている。

ところで、名前の由来は「けりり」とか「きりり」とか鋭く甲高く鳴くことからきているが、「けりをつける」の「けり」は全く別で、完了の助動詞「けり」からきているらしい。