鷹の輪の点となりゆく国の原
地鴉をいなして鷹の舞ひにけり
それは住宅地の上に悠然と現れた。
大鷹のようである。
地上は風もなく素晴らしい秋日だが、上空の風をとらえてゆうゆうと輪を描いている。
地上が枯れてくると狩がしやすくなるのだろうか、鷹は冬の季語とされている。
真上の当たりに来たとき、地上から真っ直ぐ鷹に向かってまるでスクランブル機のように一羽の鴉がかかってゆく。
平原の王者は、煩いやつと関わるのを嫌うように大きく輪を描きながらもさらに高度を上げて平群の方へ向かって行き、やがてその点も溶けるように消えていった。
自宅周辺で大鷹を目撃するのはこれで二回目だが、これも郵便局への軽い散歩の褒美かなと思う。暑いときなどつい車でとなるところを、ちゃんと自分の足で踏ん張って立てばこの目、この耳、この鼻を使って四季の空気を思う存分吸うことができるのだから。