脚力をまづはたまはり鹿の子かな
やはり草食動物なんだなと思う。
生まれ落ちたその数時間後には、もう鹿苑を駆けている。生まれながらにして天敵から逃れる足を持っているというわけだ。
生まれ落ちるという言い方がぴったりのお産シーンをビデオなどで見る。そのときは、今にも折れそうな四肢を踏ん張ってようやっと立ち上がるお馴染みのシーンが続くが、そのおぼつかない姿からは想像もできないくらいだ。
そういえば、乳を飲むのも立ったままだし、自立の脚こそ命の始まりなのだ。
人間の十月十日の胎内、ハイハイ、つかまり立ちを経てようやく歩みを覚えるスピードも対極的であるが、これはこれでまた愛しい。