集団移動

ほんたふの空へ遊牝しあきつかな

いつの頃だったか、秋田へ向かう途中の安達太良SAで休憩していたときのことである。

頭上10メートルもない高さを、つるんだままの赤とんぼたちが群れて流れて行くではないか。
なかには、伴侶がいない可哀想な離れとんぼがいたが、それにしても圧倒されるくらい見事な雌雄合体集団である。
数にすると万にもなろうかという集団がSAを越えて、つぎつぎと東北自動車道をも横断してゆく。
頃は九月下旬だったから、安達太良山から里へ向けて集団移動していたのであろう。

赤とんぼをみるたび、あのときの感動が蘇るが、同時に思い起こすほろ苦さもある。
それは、福島県に入ったところで速度超過で御用となった後に体験したことで、この素晴らしい遭遇にどれだけ癒やされたことか。