恒例の振り返りです。
今年のビッグニュースは何と言っても結社880号(8月号)の巻頭掲載でしょう。
海鮮市場でひときわ大きな声で客を呼ぶ売り子を詠んだ「浅蜊売」の句ですが、コロナ禍で句会中止となるなか、夏雲システムを利用したウェブ句会で数多く詠めたことが背景にあります。
後半にはZoomを活用した合評会にも発展し、同好の士とも深く交わることができたのはありがたいことでした。
雲湧いて畝傍山そばだつ初景色◯
春泥に盛る地祝の砂の山
襲津彦の墳やもしれぬ野に遊ぶ
野遊のシャトルは風に遊ばれて
水盤の湯気ほの甘く花祭
禁足の杜の一本桜かな
柳絮とぶ采女入水の池にかな
おまけ汲む伝法肌の浅蜊売◯
股覗きするあめつちの夏霞
宿下駄の鼻緒の濡るる蛍狩
◯印は結社誌雑詠鑑賞で取り上げられたもの
雲湧いて畝傍山そばだつ初景色
おまけ汲む伝法肌の浅蜊売
やはりこの二句、断トツ良いですね。
コロナを逆手にZoomやwebで実りある一年でしたね。
更なる精進を祈ります。
ありがとうございます。
ZoomではPCのカメラの解像度が低いのはかえって好都合なものです。背景のごみごみしたものや、普段着スタイルの風体が全然気になることがありませんから。
これが4Kカメラだったらちょっと大変だと思いますよ。
今年前半の句10選、「おまけ汲む伝法肌の浅蜊売」は意表を突くような言い回しで、否が応にも目を引きますが、個人的には「宿下駄の鼻緒の濡るる蛍狩」が好いですね。 確かに宿下駄って、鼻緒が湿ったりしてなんとなく小汚いのですが、足に馴染みほっこりして、そのまま歩きたくなるもので、蛍狩りなんてピッタリ! こんど、旅先の宿やで下駄を履いたら、きっと、この句を想い出すでしょうね。
浴衣に宿下駄を引っ掛けて、木橋のあたりでほろ酔いの蛍狩り。男では面白みはありませんから、ちょっと色気を感じる仕立てになりました。