涸れさうで涸れぬ懸樋の水細し
初句会は東大寺、春日大社周辺。
興福寺の新中金堂はいかにもピカピカで誰もが詠むだろうかと、あえてひとり逆のコースをたどった。
まずは東大寺へ向かう途中で吉城園に入ると、ここには句材がいっぱいで句帖にはたちまち十句をあまるものを得られた。五句出句の句会なので、これ以上場所を変えなくてもよさそうにも思えるほどだ。
吉城園は茅葺きの茶室が有名で、茶庭、つくばい、四阿、それぞれに句材がある。
ただ、出句にするのを選ぶのに迷うのはどれも五十歩百歩、帯に短し襷に長しのようなものばかりなのには参ったが。
奈良の吟行で句材に困るということは先ずないでしょうね。
しかし句材が多すぎるのも迷いが出ますね。
特に私など素人にとってはあれもこれもと欲張りすぎるきらいがあります。
もしもプレバトで茅葺茶室の佇まいの映像が出れば皆さんどんなイメージで詠まれるでしょうね。
私は手も足も出ません。
これはもう細部を詠むに限りますね。
茶室ですから、露地、四阿、茶庭、つくばい、苔庭、椿、山茶花、万両・千両、小鳥、などなど。試しに詠んでみますと、
お習字の初稽古に行く前に一句。
初釜や懸樋の音のかすかなり
いい季語を配されましたね。
私には茶の経験がないので敷居が高く、この題が出されたらお手上げです。