旧参道

旧かなの路標かたぶき冬ざるる

雨に閉じこめられた一日。

十一月の雨はときに冷たいものがあるが、今年はどういう関係だろうか意外に暖かい雨が多い。
今日も朝の冷え込みがやわらいだせいか、昼間の気温がたいして上がらなくても寒く感じることはなかった。
暖房することなく普段着で過ごせるのはいいが、ここのところ秋の季題ばかり詠んでしまうのも季節感がすこしずれてきていることもあろうか。
信貴山旧参道にある今にも傾きそうな古家の角に、これまた傾いた古い道標がある。曲がりくねりながら徐々に登ってゆく旧道は道幅も狭くてレトロな佇まいはそのままである。その街道を囲むようにある新興住宅地の明るさと比べ、その落差の大きさにかえって旧道が冴え冴えとしてくるような気がするのである。

“旧参道” への4件の返信

  1. 美杉の旧伊勢街道にもそのような佇まいが続くところがあります。
    私の高校時代の友人は通学困難の為高校近くに下宿住まいをしていた。
    ある夏休みに母の実家が美杉のために友人宅にお邪魔をしたことがある。
    旧家と言うにふさわしい立派な家であったことを記憶している。

    1. 同じく高校時代の寮に太郎生から来ている同級生がいました。当時、津の市街に住むものからしたら、美杉村のどん詰まりの太郎生なんて想像もつかないような地のイメージがありました。奥津城のさらに奥なんですから謎に満ちたゾーンのような気もして。

  2. 旧かなの路標かたぶき冬ざるる

    よくまぁ陰気な言葉を並べたものですが、こういう風景が消えた今、逆に懐かしい情緒っぽさを感じるのは妙なものです。それに、コメントの”美杉村”のやりとりは面白いですね。確か、京都のお宿で、勲章を授受された宮村さんがこの村の出を自虐的に紹介されて、皆で盛り上がったのを思い出しました。

    1. 「陰気」ですか。言われてみればそうですね。だから「冬ざれ」とマッチしそうだと思いませんか?作りすぎと言われそうですが。
      美杉村の極めつきは「奥津城(現地語ではおきつ)」でしょう。JR名松線の終着でもあります。街の人からしたらとんでもない奥地、しかも奥まった墓所という意味ですから、何か謂われがあると考えられます。
      「太郎生(たろう)」はさらにその奥、つまり奈良との県境、伊勢街道の要衝地です。

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