旧かなの路標かたぶき冬ざるる
雨に閉じこめられた一日。
十一月の雨はときに冷たいものがあるが、今年はどういう関係だろうか意外に暖かい雨が多い。
今日も朝の冷え込みがやわらいだせいか、昼間の気温がたいして上がらなくても寒く感じることはなかった。
暖房することなく普段着で過ごせるのはいいが、ここのところ秋の季題ばかり詠んでしまうのも季節感がすこしずれてきていることもあろうか。
信貴山旧参道にある今にも傾きそうな古家の角に、これまた傾いた古い道標がある。曲がりくねりながら徐々に登ってゆく旧道は道幅も狭くてレトロな佇まいはそのままである。その街道を囲むようにある新興住宅地の明るさと比べ、その落差の大きさにかえって旧道が冴え冴えとしてくるような気がするのである。