老の功名

空耳にチャルメラ響く寒夜かな

坂にある住宅街のせいか屋台というのは滅多に巡ってこない。

越してから一、二度、拡声器からこぼれる焼藷屋の声をかすかに聞いたような気がするが、それも今はめっきり聞かない。おそらく若い世帯の多い団地では声のかかることがなかったのであろう。夜鳴きそば、ラーメン屋さんも同じくやってこない。
やはりこれらの商売は、午後八時を過ぎると店という店がぱったり閉まってしまう土地柄には馴染まないのであろう。
以前は駅から二分というすこぶる便利なところに住んでいたので、ちょっと小腹がすいてラーメン食いたいと思えば何軒もある店によりどりみどりで足を運べたり、ちょっと甘いものを食いたいと思ったらこれも五十メートル足らずにミスドがあったり、すこぶる重宝したのであったのが懐かしい。
NHK奈良局から流れる街の映像は真っ暗だし、「寝倒れ」と言われる県だけのことはあるが、これもまた馴れてしまえば当たり前のこととして受け止めることができるようになったのも老の功名と思うしかない。

“老の功名” への3件の返信

  1. 空耳にチャルメラ響く寒夜かな

    チャルメラ、ですか!
    クレープやパスタなんかのキッチンカーは健在でオフィス街や公園でよく見かけますが、夜泣きソバ/ラーメンの屋台、それにチャルメラも久しく見ず、聞かず、です。チャルメラ・・好い語感ですね。チャルメラと聞くだけで夜空が目の前に浮かびます。

    1. いまだに夜廻りの珍しい風景が見られる土地柄です。自治会役員で経験がありますが、その寒いこと。出かける前におおいに引っ掛けて腰を上げたものです。
      横浜のラーメンはうまいですよね。当地のラーメンはもう一つ。丼椀がなぜか小振りというか、うどん椀みたいな店が多く、気分が乗りません(笑)やっぱり両手のひらに余るサイズでないとね。

  2. 老いも悪いものではありません。
    先月の書道のテーマは共感を得ながら楽しく筆を運ぶことができました。
       今もよし昔も恋し老いの春(富安風生句)

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