冬の連想

焼藷を分けて職場の三時かな
焼藷の差し入れありて茶を淹れる
紅さつま一本焼いて足る暮らし

郡部に住んでいるせいだろうか、石焼き釜の車をとんと見かけない。

小さな煙突から木を燃やして上がるあのかぐわしい煙りは、市街地内であればまだ健在なのだろうか。
こんなことを考えたのは、車を走らせていて落葉がうずたかく積んだ道を見たからである。落葉を見ると焚き火、焚き火は焼藷という連想がたちまち頭の中を駆け巡り、無性に食べたくなる。

自宅で塵はおろか庭の葉っぱすら燃やしてはいけなくなって久しい。子供たちが小さい頃は落ち葉を拾ってきては藷を放り込んだりする遊びもできたが、今となってみると落葉をみたら条件反射的に焚き火、焼藷を思い出す世代の最後なのかもしれない。

焼藷は屋台か店で買うしか手に入れる方法がない時代というのはさびしい。しかも、値段が高くなったものだ。

“冬の連想” への6件の返信

  1. 句から美味しそうな匂いが漂ってきます。
    懐かしい焼芋、熱々の焼芋をふーふーしながら食べた子どもの頃。
    時々石焼き釜かどうかわかりませんが ♫甘くておいし~い焼芋~♪ なんて声がマイクを通して聞こえます。
    一度買ってみようかしら?

    1. やっぱり都会では焼藷の移動販売があるんですね。
      無い所に来ると無性に食べたくなるものです。食べられるうちにぜひトライしてください。
      今の大企業では職場で焼藷を買ってきて皆で分け合うということはないのだろうなあ、というのが「三時」の掲句です。昔はこういう余裕というのが職場にあったのですが、何もかも競争に巻き込んでしまう経済至上主義って決して居心地のいい社会ではないという思いを込めております。

  2.  近くのスーパーの入口に焼き芋があって、その匂いと温かさについ引き寄せられます。
     母が存命中はよく買い求めました。今はひとりで一本は食べられないので(連れ合いは食べません)あまり買うことはなくなりました。
     懐かしい食べ物はいろいろありますが、焼き芋もその一つですね。

    1. ああ、スーパーでも売ってますか。こちらではたまに行く奈良市内のスーパー(鳩マーク。奈良で唯一かも?)入り口ではもっぱら鯛焼きの匂いに負けてしまいます。
      たしかに焼藷一本を一人で食べるのは大変かもしれません。我が家では干し芋が好きなのでよく買ってきてもらいます。

  3. そうですね、昔と違って今は冬といっても火を使わない、火を使うこと禁止、、ですからね。焼き芋も焚火も身近なものではなくなりました。今の若い子マッチ擦ったことないのかもしれませんね。焼き芋は食べたいというほどではありませんが食べてみるとおいしいと思います。

    1. 今時はマッチなんて古い仏壇の引き出しくらいにしか残ってないかも知れません。桃印のマッチが懐かしいです。
      焼き芋を作るのは今や電子レンジ頼みだの時代になりました。

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