あばたのおかみさん

夕映えて軒にからびる唐辛子

しまい込むのをすっかり忘れていた。

秋口に唐辛子の一株が実をびっしりとつけたので、軒に吊しておいたのだった。
一か月以上も干すと、実はもちろん、枝も葉っぱもすっかり干からびて、ふればがさがさと音がする。
実は手で簡単に千切れるかと思ったけれど、意外にしっかりしていて鋏で一つ一つ離すという面倒な作業に没頭した。
聞けば、一昨年のがまだいっぱい残っているらしく、わざわざ手間暇かけて作るほどでもなかったのだが。
なぜこんなものを作るかというと、料理番組を見ていると、油にニンニクの刻みなどを炒めて料理のベースを作っているとき、タカノツメというのだろうか、あの真っ赤なものが簡単に作れそうに思ったからだ。
あのツンとした香り、辛みが味を引き締めてくれるからとくに中華系では必須で、ときに知らずにいっしょに食べてしまう失敗もあるが、和製調理料としては胡椒をしのいで最右翼。もっとも「唐」とあるので、おそらくどこかの時代に外からもたらされたものには違いなかろうが。
今夜は、辛子のきいた麻婆豆腐でも食いたいところである。
閑話休題。
麻婆豆腐の「麻婆」とは「あばたのおかみさん」という意味だそうである。清の時代に、油商の未亡人がありあわせの豆腐と羊肉を辛い味付けで料理したのが味がよく、これを売ったところ評判になって「麻婆豆腐」と言われたとか。

“あばたのおかみさん” への2件の返信

  1. 豆知識をありがとうございます。
    「あばたのおかみさん」ですか、麻婆豆腐を作るたびに思い出しそうです。
    そういえば麻婆豆腐は何となく姿形が痘痕っぽい気がします。

    当地先ほど大雨警報が出ました。
    10月最後の土、日も台風に祟られましたね。

    1. なんか当地は無事に過ぎていってくれそうです。警報はでませんし、雨もあがりました。町長さんもほっとしているでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください