今を生きる

鵙猛る里に日の落ちなんとして

駅を降りるとけたたましい声が聞こえる。

駅の近くに広がる里山に日がまさに落ちようとしている時刻、縄張り争いの鵙の高鳴きである。どこかの木の天辺付近で鳴いているのだろうが、目をこらしても見つけられない。残照にハイライトを浴びるようにまぶしいので、両手かざしに見回すが相変わらず高鳴きはやまない。
すっかり日が暮れるまであの戦いは続くのだろうか。見届ける余裕はないが、彼らも今を生きるのに精一杯なのである。

“今を生きる” への4件の返信

  1. 陽の光がまぶしいほどの秋晴れに柿の実のオレンジが映えている。
    今日は家人の運転で日帰りで田舎へ墓参り、明るいうちに帰宅できたのは有難い。
    今週は好天が続きそうで何かと忙しい月末になりそう・・・

    1. 昨日今日といよいよ晩秋の趣の青空でした。
      庭で日を浴びていても、紫外線の熱さはまったく感じなくなるほどおおきく季節は動いているようです。
      朝晩の冷え込みで露がびっしりです。

  2. 鵙猛る里に日の落ちなんとして

    色んな景色が想像できる、好い句ですね。そもそもモズと言う鳥が、千変万化っぽく、世界遺産になった仁徳陵の辺りを百舌鳥と言うのは、百舌鳥が鹿の耳から飛び込んで、鹿の脳みそを食い荒らしたという言い伝えから。冒頭の「鵙猛る」で縄張り争いをしていることが分かり、そのざわめきが静まらない内に、陽が落ちておく・・・。続きが欲しくなる光景ですね。

    1. 百舌鳥野陵のいわれですね。仁徳というのは在位87年と常識を越える天皇で、実虚めぐって諸説ある天皇ですね。継体以降になってようやく年表というものが実在を裏付けるようになってきたような。
      鵙が鳴き止む時間には露がしっとり降りてくる静寂がひろがります。

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