膝病んで床几所望の棚経僧
大神平等寺の住職が盆供養にお出でになられた。
永平寺でも長年重職をつとめられ二三年前に地元に戻ってこられた老師である。
この老師はたいした人物で、廃仏毀釈でつぶされた大神神社の神宮寺のひとつ平等寺を再建され、いままた多武峰妙楽寺の本堂を再建されたばかりである。この妙楽寺は7世紀に鎌足の長男・定慧が父の墓を改葬し今の談山神社の十三重の塔を建立したのが始まりで、全山が堂宇で埋め尽くされた巨大な寺院であった。明治の初めに打ち壊され今では木々に埋もれてしまったのであるが、その一画、談山神社の十三重の塔を見下ろす位置に新しく本堂が成った。この秋にも落慶法要が営まれる予定だと言うが、コロナ禍の今どこまで盛大にできるか心配されるところである。
そのお元気な住職が、いつもなら端座されて老々としたお経をお唱えくださるのだがことしは腰掛けを所望された。仏壇に向けてちょうどいい高さの床几もなく、食卓の椅子でご容赦願うことになったがお声はいつものようにご健在であった。
今月は新盆の時期ですね。
もう棚経を供養されたのですね。
談山神社と言えば紅葉で有名なところでしたね。
齢をとると仏壇の前に端座する時間もだんだん辛くなります。
お経だって細かい言い回しがうまく言えなくなったりします。
昔はもっと朗々と唱えられたはずなのにと気持ちが滅入ります。
でも向かう姿勢が大事かなと朝夕座ります。
私など朝だけです。
朝のルーチン。ざっと顔を洗ったらどの窓も開け、猫どもに餌をやり、朝刊を取りに出て、猫の皿洗い、猫トイレの砂を入れ替えて洗う。鉢に水遣り、今だけ畑見廻り、帰って朝食、朝刊読んで朝ドラ見て、ひげ剃り、歯磨き、錠剤飲んで猫にブラシ、そして仏壇に坐り、終われば部屋の掃除、ごみ出し。これでようやく一段落。ざっと2時間はかかってます。少しでも手順が狂うと何かが起きます(笑)
膝病んで床几所望の棚経僧
棚経をあげてもらったのは、いつ頃だったか?
横浜に移ってからは箱型のお仏壇にお供えをしてチンするだけ。
ボンさんに来て貰ったこともないし、自らお経を読んだことも
ありません。ほだかさんが妙楽寺の本堂を再建されたような
偉僧と顔なじみで、お盆に、棚経をあげてもらうなんて凄いし、
羨ましいですね。でも、そんな偉僧に、食卓の椅子で代用とは。
母親の最後を当地で看取って供養をお願いしたお寺です。そういう高僧とは知らず、母の菩提をお願いしたものです。
当初は副住職がお出での予定で、昨今の事情から玄関でという話だったのでまさか住職自らお出でとは驚いたものです。部屋は片付けてないし、いやはやお恥ずかしいかぎりです。