異色

別院にすすめばゆかし酔芙蓉

芙蓉は中国では蓮のことを指すらしい。

美しさでは蓮にひけをとらないことから「木芙蓉」と呼ばれたとか。
これは漢語に詳しい昭和蝉丸さん(敬称が抜けておりました。失礼しました。)にただしていただかればならないが、芙蓉の中でも酔芙蓉とはなかなか妖艶な語感を伴うものである。朝には白く咲いていたが昼頃には目にもはっきりわかるほど淡い紅をさし夕方にピークを迎える。翌日にはもう花も閉じてすぼまるように眠りいっている。
芙蓉の寺として京の妙蓮寺が有名だが、当地では橘寺が知られている。決して広い境内ではないが、奥の院まですすむと前住職が植えたという見上げるようみごとな酔芙蓉を見ることができる。
橘寺は聖徳太子生誕の地といわれ、飛鳥と斑鳩を往復したという黒駒の像がおかれたりしてよすがをしのぶことができるが、名前の通りここには大きな橘の木が植えられている。寺の名前の由来は、田道間守(たじまもり)が垂仁天皇に命じられて常世の国の不老長寿の実を持ち帰った橘を植えたことにある。
生臭い歴史の多い飛鳥のなかではひとり超然として異色の存在の輝きを放っている。

“異色” への4件の返信

  1. 何年か前に飛鳥寺で観たのはあれは芙蓉でしょうか?それとも酔芙蓉だったのでしょうか?
       朝白く花開きたる酔芙蓉午後には赤へ色移しゆく(友人詠)

    1. 飛鳥寺は白芙蓉だったように記憶してます。橘寺の本数にはとうてい及びません。現存の飛鳥寺は往時の十分の一もないでしょうから。

  2. 別院にすすめばゆかし酔芙蓉

    芙蓉と蓮(の花)は名前の由来からして紛らわしいんすね。中国では蓮の花は「荷花」と言ってどこの寺院の中庭の池にも初夏から咲いています。さほど珍重視されていない感じです。芙蓉は湖南省が有名で、湖南省が毛沢東の生誕地と言う事もあり、革命賛歌の絵画ではよく描かれ、何となく位が上のように感じます。
    PS 芙蓉の花は「妙蓮寺」が有名・・・。
      ウチの近くの妙蓮寺ではなく京都の。
      京都生まれ育ちの私なのに全く知りませんでいた。

    1. 芙蓉が蓮よりは上位。なるほど、仏の教えより現世の英雄ですかね。
      妙蓮寺近くにお住まいですか。私は大学時代の3年ほどを松見町で下宿しておりました。懐かしい響きです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください