納棺

生前の母が欲せし蒸かし芋

食べたくても食べられない辛さ、苦痛が最後に待っている人生。

母を退院直後我が家に引き取ったのだが、すでに流動物以外は食べてはいけないと言われていた。腸が処理できないからと繊維質の植物も禁止だったので大好きな芋類も御法度だ。心の中でご免ね、と思いながらいつも同じような食膳を用意するしかなかったのだが文句も言わず食べてくれた。

テレビで芋のニュースが流れたときのことだ、「おいしそう」という声がもれたのは。大好きだった甘いものに加えて、蒸かし芋も一緒に納棺してあげた。

“納棺” への6件の返信

  1. 私の母もお芋、甘いもの、好きだったですねえ。糖尿病だったので沢山はだめだったけれど、亡くなる4日前まで食事をおいしそうに食べていたので助かりました。
     消化器系の病気は辛いですねえ。とくに老齢になると食べることが一番の楽しみですから。 お棺の中に一緒に入れてもらったお芋や甘いものを充分に味わわれたことでしょう。

    1. 残り僅かな人生となって、生きるための欲というのは「食欲」に尽きると思います。これがなくなるということは肉体の衰退を招き死に向かう道が待っているだけです。近年は延命治療のため、食欲さえない人が生かされている現状。その食欲があるのに病のために摂取できないというのはどんなに辛いことでしょうか。

  2. 亡き母上は蒸かし芋がお好きでしたか。
    丁度、時期的にもお芋が美味しい季節です。
    生前食べられなかった分お供えしてあげてくださいね。

    そう言えばわが母も芋類が大好き、そして甘いものにも目がありません。
    毎回電話で「何処どこの何々を買ってきて」と注文は甘味系ばかりです。

    1. 食欲があって、食べられる。なんと素晴らしいことでしょう。食べたいものがあるなら、いくらでも親孝行できますね。

  3. 流動食以外はダメという食事制限はお母さんにとっても、お世話をする家族にとってもつらかったでしょうね。生きてる人間にとって、普段健康の時はあまり感じないかもしれませんが、自由に動けない病人にとっては食事は大事な楽しみかもしれませんね。
    お母さんの棺に大好きな”蒸かし芋”を添えてあげた気配りはすばらしいですね。さぞかし喜んでいるのではないでしょうか。

    1. 明らかに老衰、死の旅に向かっていると判断したとき、食べたいものがあれば少しでもいいから食べさせてやればよかったなといまでも悔やむことがあります。旅立ちのお供にしたのはその罪滅ぼしかもしれません。

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