高原の宿

しおでの実添へて抹茶をふるまへり

タチシオデの実というのは黒い。

あまりに黒いので最初はヌバタマかと思ったのだが、タチシオデという但し書きがあったので調べると、春は食用に適し薬草としても用いられるそうである。ホテルでは到着した来客のためにロビーのコーナーに茶席を設けられてあり、そこでは抹茶がふるまわれ、洋菓子のメレンゲクッキーという何とも微妙なお菓子も供された。
茶席の床机台に目をやると、茎や葉がすっかり枯れて黒い実がアクセントになったタチシオデがおかれて、それがまた秋の野草そのものの素朴な佇まいを漂わせており、高原の宿に着いたんだなという思いをいっそう深くすることができる。初めての吟行句会を前に落ち着かない気分にいるものには心憎い演出で心を静めてくれるのである。

“高原の宿” への4件の返信

  1. お疲れさまでした。写真は高原の宿の前ですね。見事な色彩でした。それにしてもよく色々と観察されてます。ぼんやりお茶飲んでるのとえらい違いです。ボケの付け込む隙なんぞないじゃないですか。

    1. 毎日ものを書いてるとそんな習慣がつくようになるんですね。常にアンテナを張り詰めて。今日は会社時代の仲間と正倉院展に行ってきます。また、なにか見つかるといいですけど。

  2. ぱっと鮮やかに目に飛び込んだ紅葉素晴らしいですね。
    秋空に白樺、そしてナナカマドと黄色はダケカンバでしょうか?
    久しく信州の紅葉にご無沙汰しています。
    やはり本場の紅葉は違います。
    言葉にできない・・・わかりますね~

    1. さすが本場でした。小海線の紅葉景色も筆舌に尽くしがたし。今月の例会に思いを込めて詠んでみました。ここで披露できないのは残念です。

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