冬準備

田仕舞の煙りの高く平群谷

これを谷と呼んでいいのかどうか。

ただ、南アルプスと中央アルプスに囲まれた天竜川沿いの土地を「伊那谷」とか「伊那平」と呼んでいるように、平群の里も西は生駒山地、東は矢田丘陵にはさまれた土地で、北の生駒市に接するあたりの竜田川が深くえぐれてそこから大和川合流まで南下しているさまなどは伊那谷の天竜川を思わせ、この一帯をどうしても平群谷と呼びたくなってしまうのである。

ある小春日、この谷を南北に走る近鉄生駒線の車窓から平群谷に幾筋もの煙が立ちのぼるのが見えた。間近のはどうやら籾殻を燻して燻炭を作っているようである。冬準備に追われる里の一齣であった。

補)「田仕舞」を季語とする歳時記はあまりないようである。ただ、今年の田仕事の全てを終えたいま、冬を越し来春のために田をかたづけると言う作業の尊さを考えると、これが季語でないとする考えは理解できない。

“冬準備” への6件の返信

  1. 田仕舞ひ なかなか味のある言葉です。
    来年の豊作を祈りながら丁寧に田を片づける、お百姓さんの心映えが感じられます。
    田から立ち登る煙、昔の田舎ではよく見られた光景です。

    平群の谷を走る生駒線は伊那谷の飯田線さながらですね。

    1. 平群谷は伊那谷に比べれば規模こそ小さいですが、生駒市との境界あたりの高い地点にたって見渡すとそれはそれは負けてない感じがします。奈良にお出でになるときの参考にしてください。かんぽの宿があります。

  2. もうすっかり奈良盆地の人になりましたね。文章に愛着が感じられ微笑ましくなりますよ。
    田舎の農作業の光景はゆったりと見え安らぎを覚えます(実際には甘えの許されない厳しい作業なのでしょうが)。

    1. 土地に愛着がある、そんな風に感じてもらえましたか。どこに行っても居ても、土地に起伏があり水があるところは好きです。
      吉野の上千本から見下ろす吉野川流域もなかなかのランドスケープ。葛城の高鴨神社あたりの高所からは秋津島から吉野、そして五條にかけてのゆたかな起伏にも心惹かれるものがあります。盆地全体がおおきく波打ってるようなところがあって単純な盆地でないのも魅力です。

  3. 16日~18日に2泊3日で北杜市の別荘に最後の紅葉見物と畑仕事に行ってきました。
    標高1200~1400mの清里付近では黄葉も終わり、既に冬の様相でした。
    別荘周辺は標高900m前後ですが、まだ黄葉が見られ、カラマツの松葉がきらきらと輝きながら降って来る様子はきれいな光景ですね。ただし、車のボンネットの上にあっというまに積ってしまうので、長時間の駐車は避けた方がよさそう。
    今回驚いたことは、別荘の庭でイトトンボとハッチョウトンボに出合ったことです。
    日曜日の朝は最低気温が2.8℃で庭は霜で真っ白になり、庭石の凹み部分に溜まった水に氷が張るほどの寒さでしたが、これらのトンボが未だ元気に飛んでいる光景に出くわすとは驚きでした。トンボは夏から秋にかけての昆虫とばかり思っていたのですが…。イトトンボなどは私の上着にとまるほどで、しばらくはトンボを驚かせないようそっとしてやりました。
    畑の方は、キャベツ、カリフラワー、大根を収穫してきました。丹波の黒豆は、葉がかなり枯れてきたので、枯れた葉を落としてやり、自然乾燥のため日当たりと風通しをよくしてやりました。2週間後に行く時は、収穫し、さらに乾燥させる予定です。果たしてどれだけの収穫量になるのか楽しみです。

    1. いい季節に出会えましたね。
      日常ではなかなか目にできない光景ですから、印象深いものがあったでしょう。

      次回の丹波黒豆収穫が楽しみ。きっと何回にも分けて食べられる量になるんじゃないかな。

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