元興寺小塔院跡

からたちの実の涸ぶりて門鎖す

からたちの実の錆びしまま無縁仏

もと元興寺の伽藍跡地で残されている数少ないもののひとつである。

荒寺に哀れをさそう遊女の墓があるというので案内してもらった。話では、墓というよりはただの石塊ばかりであまりにかそけくて言葉もないという。
残念だったのは、どういうわけか今は私有地になっているとかで、中へ入れてもらえない。「史跡元興寺小塔院跡」という案内表示板があるのにである。
何だか割り切れない思いに立ち去りがたくいると、跡地に続く道には葉の多くが落とされてやや黄をおびた棘ばかりがめだつ枳殻の生け垣が続いているのが目にとまった。その棘に守られるように直径二センチほどの実が成っているのだが、もう萎びてひからびそうになっていた。

“元興寺小塔院跡” への2件の返信

  1. 相当古い時代の遊女でしょうかね。でも古代の遊女にはあまり暗いイメージはないから、近代の遊女かな。哀れですね。

    からたちの実ですか、「からたち日記」ですね。
     ♪~からたちの実がみのっても 別れた人はもう帰らない~
    お千代さん、きれいな声で好きでした。 

    1. 元興寺は平安末期より衰微の一途をたどったあげく1451年の土一揆で大方の伽藍が消失して以来再建されることなく、その後民家が立ち並んで奈良町が形成されたといいます。ですから遊郭というのは戦乱が終わった江戸時代以降でしょうかね。

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