丈六仏

聖代の丈六なれや古都の秋

奈良博物館「国宝 醍醐寺のすべて 〜密教のほとけと聖教〜」へ行ってきた。

暑い間は外出がどうにもおっくうだが、今日のような清々しい秋日和に奈良公園をゆっくり歩くのはとても気持ちいい。
木のかげもたっぷりあるので、暑くなると木陰に入ればたちまち汗もひくようで、いよいよ古都の観光シーズンが到来したようだ。

醍醐寺と言えば秀吉の大茶会花見がすぐに浮かぶが、吉野や大峰の山岳修行とも結びついた密教のお寺としても有名だし、何より文書の管理が素晴らしく数万点が国宝に指定されている。奈良街道にも面し、南都の寺とは往来があったようで、東大寺再建にあずかった重源、西大寺中興の叡尊なども醍醐寺とはゆかりが深い。
今回はそんなご縁から醍醐のお山を降りてこられた阿弥陀仏、薬師三尊など貴重な国宝、重文の数々が奈良でも公開されることになったので、これを見逃すわけにはいかない。

快慶の手になる後白河法皇追善といわれる弥勒坐像菩薩もこれでもかというくらい精緻で見ごたえもあるが、平安期の作と思われる大講堂本尊の阿弥陀如来座像がいかにもほとけ様という体の飾り気もなくすばらしい。座像であるが立てばその倍の一丈六尺(4.8メートル)といわれる丈六仏である。これを超えるものがいわゆる大仏と言われる。
なお、薬師堂本尊の薬師如来坐像は半丈六。丈六仏の半分の高さで、座っておられるから実寸はその四分の一で1.2メートルの高さと言うことになる。

“丈六仏” への4件の返信

  1. HP見せてもらいました。すごい数の文書聖教なんですね。仏教や歴史に興味ある人には堪らない展示なんでしょう。毎日古都の秋を楽しめるなんて幸せ者ですよ!

    1. 展示されたものだけを鑑賞するにも、とても一日では消化できそうもない量でした。これをヘッドフォンで案内を聞きながら回っていたら、さらに時間がかかりそうです。
      末摘花の兄の聖者が醍醐寺の阿闍梨だという想定も成る程とうなずけます。

      来月からは正倉院展が始まります。何年かぶりの修復が終わって、正倉院もちょっとしたブームになるかもしれません。

      1. そうか、末摘花の兄が醍醐の阿闍梨でしたね。このお兄さん、頼りない法師の典型でしたね。もうちょっと妹のことも考えてやって欲しかったです。

        1. 典型的な学僧で、兄妹揃って世俗には全く疎いタイプに描かれているのが面白いですね。それでも兄の阿闍梨というのは、相当な高位にまでのぼられているので学問はよくされていたんでしょう。

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