見えない川

水澄めりもはや木橋もなきあたり

飛鳥川というのは意外に深いV字の谷を形成している。

しかも川幅が極くせまいので、川の姿がようやく見えてくるのが飛鳥板葺宮のあたりだ。ここまでくるともう深い谷の形成はなく普通の小さな川になるのであるが。

その深い谷となっているあたりに稲渕の棚田があり、すぐ下流には天智が皇太子の時住まいしたと言われる稲渕宮跡、つづいて石舞台脇へ流れていく。
いずれも川の近くを歩いて、確かめるようにしないと覗きみることはできない。飛鳥へ行かれるときは石舞台まで行かれたら、ぜひこのあたりまで足を伸ばしていただくと別の魅力を感じることができるだろう。

飛鳥もなかなか広くて一日で歩き回ることはできないが、私は飛鳥でも素朴な風景を見せるこのあたりが一番好きだ。

“見えない川” への2件の返信

  1. なるほどそういう地形なんですか。だから棚田なんですね。流れも急そうですね。人も立ち寄りがたくて自ずと素朴な風景になるということでしょうか。
    今朝散歩でススキの花をじっくり観察しました。イネ科とあって稲と同じ感じ、素朴な小さな花でした。見渡すと荻など同種のものもみな同じように花をつけていました。初めて気づきました。

  2. いい光景を観察されましたね。今がチャンスです。歳時記の「芒」「荻」の項をよくご覧ください。さまざまな傍題があって昔からこれらの風情が慈しまれてきたというのがよく分かります。例句も味わっていただくといっそう季題の持つ豊かな詩情にふれることができます。それだけでいい句が生まれてくること間違いないでしょう。
    今月の雑詠にぜひ佳句を!

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