甘党

ぜんざいや人生の秋説く君と

久しぶりに梅田に出た。

米子に住む大学時代の友人H君としばし旧交を温めるためだ。兵庫出身の彼が郷里で同窓会に出るのを機会に大阪で会おうとなったわけである。
卒業したあとは、東京勤務となった彼とたしか一回あった記憶があり、それが何時のことだったか正確には思い出せないが第一次石油ショック直後の頃ではなかったと思う。多分それ以来だからかれこれ40年ぶりの再会である。
会うなりお互い「変わらないね!」の挨拶を交わし合うが、お互いに40年経っているので変わらないわけはないのである。同じように歳をとり同じように老けていくのであり、その歳相応の老け具合に両者の差がない、または少ないというだけなのである。これが一方が年齢以上に老け込んだりしていると違和感を感じて、言葉には出さないが腹の中では「こいつ、大病したのかなあ」とか「いろいろ苦難をくぐり抜けてきたんだなあ」と思ったりしながら会話が続いているのである。
今日は二人とも歳相応の老化だったのは幸いだった。

ただ、人生の第4コーナーが見えてくる頃には、酸いも甘いもの経験が醸し出す何とも言えない人間の味というものが沁みだしてくるのが一般であるが、とりわけH君が会話の中でときおりみせる人生の箴言には学生時代、おたがいに当時吹き荒れた学生運動には背を向けて麻雀にうつつを抜かしていた毎日と引き比べて隔世の感を覚えるのであった。

食後は甘味処で、僕はぜんざい、きなこクリームパフェのH君は「でっかいなあ」と言いながら結局は全部平らげた。そう言えば、身長180センチはゆうに超える大男のH君は昔から甘党だったのである。

“甘党” への8件の返信

  1. 楽しく読ませていただきました。
    お互い同じ程度の老け具合で良かったですね。
    余り差があると何と言葉を発すればいいのか戸惑ってしまいます。
    40年たっても50年たっても逢えば「変わらないね~」と呼応しあう友人ていますよね。
    更に60年、70年と歳を重ねていくのでしょうね。

    ぜんざいとパフェが微笑ましいですね。

    1. 待ち合わせの場所に向かうとき、途中似たようなシルエットがあるなあと思ったら、やっぱり彼でした。数十年を経ても親しんだ人の姿というのは、遠くからでも瞬間に識別してしまうってすごいなあと思います。

    2. 昨日は思いがけない再会を果たすことができ、まるで学生時代にタイムスリップしたかのようなひと時を送ることができ感激いたしました。また奥様との出会いも懐かしくあつという間に時間が過ぎ去りました。
      今朝、昨日いただいたアドレスを妻に教えてもらいながら半信半疑で打ち込んだところ、ぜんざいの文字が飛び込んできました。まさかと思って文字を辿っていくと甘い香りがかぶされた一文と出会えたのです。そういえば、彼は当時から文才もあり、弁舌もさわやかだったなと、むべなるかな。また一つ楽しみができました。

      1. 米子在住のHさんさん、さっそく訪問ありがとう。
        大山の清き水を享け、スピリチュアルにまで浄化された素敵な日々を送っていられるのに感銘いたしました。また、家人にお土産までいただいて、お腹いっぱいだけでなく胸までもいっぱいです。
        楽しい時間はあっという間でしたので、次回はもっとゆっくり会いたいものですね。
        2ndテナーのMasaru君もしばしば消息を知らせてくれるので、このブログにもまたお出でください。気が向いたらコメントなどいただければ幸いです。
        そういえば、将棋や碁など趣味の話がありましたが、往年のバリトンの美声は錆びていませんか?

        1. 文章を読んでいて、兵庫出身で大男って、ひょっとしてあの”おっちゃん”ですか?
          確か、貴方とゼミも一緒で、関西なまりで通した彼ですよね。
          イヤー、懐かしいな。
          元気そうでなによりです。
          それにしても、良い年した二人が揃ってぜんざいを食している光景、何とも絵にならないね。

          1. そうです、同じゼミのH君です。仕事もリタイアして、すっかり聖人君子の暮らしぶり。甘いものは、家人に気配りしての、彼らしい優しさです。

  2. 素晴らしい再会だったようですね。話もはずんだことでしょう。お互い人生の秋、でもまだ初冬には間があるんじゃないでしょうか。

    1. 競馬では第4コーナーからは激しいデッドヒートですが、人生の第4コーナーは駆け引きなど一切なく、周りの景色を楽しみながらゆっくり回りたいものです。

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