二百十日の空模様

実の飛ぶや蓮の蕚の雨溜り

今日は空模様が怪しい。

傘を持って出たが、日中は意外に雨が上がり吟行は濡れずには済んだ。いっぽうで、雨後の湿度は高く蒸し暑い一日となった。
吟行地は西の京。なかでも、どちらかといえば薬師寺よりも句材の多そうな唐招提寺を選んだ。実際に、夏から秋への変わり目の季節ということもあって、句材がいくらでも転がっているというまことに贅沢な日であった。
聞いた話では二百十日にもあたるこの日は「厄日」であり、関東大震災の忌日「震災忌」でもある。「稲の花」、「走り穂」の佳句も多く非常に勉強になった。

唐招提寺は和上伝来と伝わる蓮でも知られるが、境内のあちこちの池や鉢に花を終えた蓮が多い。花のあとの実には大きな種がいくつか入っていて、これが弾け飛ぶとぱっくり穴があく。掲句は、ちょうど夜来の雨があり、それを溜めたままになっているのを発見したのを詠んだもの。

“二百十日の空模様” への2件の返信

  1. 初秋の唐招提寺に吟行ですか、贅沢ですね。
    「走り穂」って言葉初めて知りました。いい言葉ですね。
    当地はもう稲刈りが始まっていて(この頃雨天で進んでいないようですが)奈良盆地とは季節差を感じます。昨日茨城にゴルフに行きましたがここも黄金色の田んぼでした。

    1. 「走り」何とかって多いですよね。走り蕎麦、走り梅雨、走り萩、、、、日本語のこの微妙なニュアンス、トーン、響きがいいです。
      同じ一枚の田の中に穂が出てる場所とそうでない場所があったり、そんな光景は即吟できませんでした。大和盆地の稲作は昔通りの暦のようです。今穂をつけようとしている時がまさに厄日。歳時記そのものです。

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