新藁の匂い

藁砧みぃーの寝床の安らけく

北信州には「ねこちぐら」という民芸品がある。

以前にも取り上げたが、雪の深い地方ならではの藁で編んだ猫の寝床である。
大切な食料を鼠から守ってくれる猫をよほど大事にしているのだろう。
夜なべ仕事で作られていたそうだが、出来映えもなかなか精緻で見事なものだ。いまでは作れる人も少なくなり値段も相当なものだと聞く。

話は飛ぶが、久しぶりのみぃーちゃん(本名:みやこ)ネタである。
三年半くらいたつが未だに家の子になってくれないが、朝昼晩の三回のご飯は欠かさずもらいに来る。
夜はどこかの納屋で過ごしているようだが、これから冬になると庭においたビニール温室の寝床がお気に入りとみえて、昼寝とか夜を過ごすことが多くなる。
段ボール箱の底に藁を敷き、壁も天井も藁で覆うようにしてやっているのだが、今日は新しいのに交換だ。藁はホームセンターで買ったものだが新藁とみえて青みも残っている。
去年は寝床がやや固かったので、今年は砧ならぬハンマーで叩き、手で揉みほぐしながら、安直版猫ちぐらの完成である。ちょっと獣臭のしみたビニール温室に新藁の匂いが広がった。
さて、みぃーちゃんは新しい寝床を気に入ってくれるだろうか。

“新藁の匂い” への7件の返信

  1. きっとお気に入りだと思いますよ。
    特に新藁の匂いと言いふかふか感は心地良い筈。
    と言うのも60年以上も前の事、祖父は山にある棚田の脇に宿泊小屋を構えていました。
    田んぼは家からかなりの距離があり農繁期や収穫期は便利さと猪等を見張るために泊り込みをしていました。
    その時の敷き布団が確か藁蒲団でした。
    かさこそと音がして寝ると沈むのがかすかな記憶として残っています。
    みぃーちゃん、寝心地はいかが?幸せね~

    1. いわゆる番屋小屋なんですね。
      藁布団は空気をいっぱい含んできっと温かかったんでしょうね。
      007のラストシーン、ジェームズボンズと魅力的な女性が藁の中に埋もれていく。そんな映画がありました。
      みぃーちゃん、今夜はチェックインしてないみたいです。

  2. そうそう、その番屋小屋が思い出せなかった。
    家族ぐるみで田んぼに行った帰り小屋に泊ると言いながら夜になると電気もないカンテラ一つの暗さと母恋しさで家に帰ると祖父を困らせたものです。
    泣く私を負ぶって祖父は山を下るのでした。
    父と祖父が交代で寝泊まりしていた粗末な小屋ですが煮炊きもできたのです。
    そんな思い出があるので私は恐れ多くも百人一首の1番歌、天地天皇
    秋の田のかりほの庵のとまをあらみわがころもでは露にぬれつゝ
    そして万葉集の
      秋田刈る仮蘆を作り我が居れば衣手寒く露ぞ置きにける
    これらの歌は祖父や父に繋がる歌なのです。
    祖父とは小学校6年生まで一緒で父より好きでした。

    ほだかさんの俳句は私にとってもうすでに忘れかけつつある幼いころの思い出を甦らせてくれる貴重なブログなのです。
    朝から昔思いにふけってしまいました。
    さあ、外が明るくなってきました、散歩の時間です。
    今が一番散歩に最適の季節ですね。
    いつまで続けられるかしら?

    1. 散歩の続き・・・
      番屋小屋から思わぬ思い出が次々と甦りあっという間の一時間。
      その小屋は母方の祖父(建具師)が建てたものでした。
      嫁ぎ先の娘を思いやって祖父が一肌脱いだものと思われます。
      その祖父は私が成人するころまで居てくれました。
      二人の大好きだった祖父の晩年が偲ばれ愁思する朝のひと時でした。
      さあ!!思い出はこれくらいにして現実に戻りましょう。
      手習いの締め切り日です。

      みぃーちゃんお目覚めはいかが?

    2. 古歌に過去の記憶とつながるシーンがあるのですね。そんな贅沢な心の旅ができるのは私たち世代が最後かもしれませんね。

      このブログが遠い昔を思い出すよすがになっているとすれば、それは歳時記から醸し出されているせいかもしれません。
      歳時記をめくっておりますと、番小屋がいろいろなところで顔を出します。水の番、鮎の梁、夜振りといって夜の漁などの見張り小屋などまであります。まさに昔の日本人の暮らしぶりがふつふつと湧いてくる宝庫みたいなものです。
      番小屋については私自身は見たこともないので、昔ならそうだったんだろうなあと想像の世界で遊ばせてもらってます。
      砧も杵も、遠い記憶に父母の田舎で見たことがあるのですが、実際に藁砧を打っているシーンを見たわけではありません。
      ただ、祖父母が山や川の仕事に使う草鞋を編んでいたり、ぼろ布で草鞋や下駄の鼻緒を撚っていたのは微かな記憶があるような。
      最近は、歳時記の世界以外にはもう見られなくなった日本の風景などを想像して詠むことも増えたように思います。
      NHK俳句の櫂未知子は滅び行く季語を取り上げているのが特徴で、興味深くみています。

  3. 猫をこよなく愛するほだかさん、ほんと面倒見のいいことです。きっと相手もそれが分かるからほどよくなつくのでしょうね。

    最近はコンバインで刈り取った後、藁はどうなってるんでしょう。機械が入った後田んぼはきれいになっており何もない。藁は粉砕されるんでしょうか。

    1. 先日稲刈りを見学させてもらいましたが、取り置きたい藁があるときは、その分だけ手がりしているようでした。隅とか機械が入りにくいようなところですね。
      コンバインでは見事に藁は粉砕されてしまい、それをそのまま焼いたり、一カ所に集めてくすべたり堆肥用にとったり、いずれにしても田に還元されているようでした。

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