深山に眠る

地図になき洞の僥倖ましら酒
コンパスの狂ふ異界のましら酒
猿酒に徐福の帰心失せしとぞ
猿酒は人知れず酌むべかりけり
猿酒のついぞ聞かざる酌み交わし
姨捨の山に猿酒眠るとや
猿酒の洞は死んでも言えぬなり
猿酒の親にも言へぬ在処かな
養老の滝の正体ましら酒
猿酒に仙人通を失くしけり

何ともファンタジーな季語である。

今月の例会の兼題に「猿酒」がとりあげられた。
猿が木の洞などに集めておいた木の実が自然発酵した酒を言う。リスだったらそういうこともあるかもしれないが、ときに歳時記はこのような空想上のものまで季題に仕立て上げるところが面白い。

だったら詠み手は存分に遊び心を発揮したいところだが、とりかかってみると意外に難しい。

“深山に眠る” への6件の返信

  1. 初めて聞く猿酒。早速歳時記を調べてみました。
    私の歳時記には見当たりませんが母の形見のにはありました。
    例句が四句ある中で好きなのは
       猿酒や谷をへだつる国境(中村素山)

       猿酒や申年女も驚けり(すかいぶるー)
    川柳もどきになりました。

    1. 私の歳時記にはこんな猿酒もありました。

      猿酒の底に芽割るヽ木の実かな 永田青嵐

      他の季語を従えてここまで遊べるとはたいした手練れです。

  2. 森の中には色んな不思議なものが存在するのでしょうね。それを季語にして詠む。すごい世界ですね。連歌・俳諧には出てきそうですが。

  3. 季題は奥が深いですねえ。
    数十年ぶりに大阪に行ってきました。
    四天王寺や住吉大社にお参りしてきました。
    住吉大社のパワースポットで「五」「大」「力」の文字の書かれた小石を15分かかってやっと見つけました。願いが叶うとか・・
    新幹線の中で十月初旬に届いた『山茶花』を読んでいると(不勉強で今頃読んでいます) hodaka さんの「鮎占」の句が目に飛び込んできました。よかったですね!
    師の丁寧な解説があって、伝承を面白く読みました。
    これからも良い句をつくってくださいね!

    1. 住吉、四天王ともに行かなきゃと思いつつ行きそびれています。いただいたパワー、体感されましたか?

      俳誌は、上位掲載者の句、添削欄、雑詠や華甲集などの主宰評が参考になると思います。読むだけでなく多作も大事ですので頑張ってみてください。

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