サラブレッドの余生

競走馬余生の馬場の秋うらら
競走馬終の住処の秋高し
ギャロップもしてみせ手綱爽やかに
大鋸屑を替へて厩舎の爽やかに
馬銜解かれ鹿毛は厩舎へ秋深し
冷ややかに乗り手見切りし牝馬かな
桜紅葉かつ散るダムのビューホテル

榛原句会の今月は吟行だ。

場所は名張も過ぎて青山高原手前の乗馬倶楽部。
第一線のレースを引退したサラブレッドばかり20頭以上はいようかという立派な倶楽部である。
ここの馬は生涯死ぬまで乗馬用現役を務めるとか。競走馬としてはあまり結果を残せなかったが、気性に問題なさそうなものが選ばれているのだという。最高齢で27歳。平均年齢16,7歳。人間で言えば4を掛けて、我らと大差ないご老体であるが、さすがサラブレッドにしてケアも行き届き、贅肉もなく均整の取れたボディに我らは似るべくもない。

この倶楽部、目に見える句材はと言えば青い秋空、名も知らぬ木の黄葉くらいしかない。
乗馬のレッスン、調教、厩舎の手入れや蹄鉄装蹄の様子など約一時間程度しか取れず青蓮寺湖を見下ろす句会場へと向かうのだが、句帖は真っ白のまま。会場で頭を抱え込んだが、何とか六句が滑り込みセーフで間に合った。
上手い下手は置いといて出句したものの、今日のように季語の斡旋すら及びもつかないときは句友の句が一番の薬になる。
こんな句が好きだ。

すぐ前に馬の顔ある秋日和

“サラブレッドの余生” への2件の返信

  1. もうあれから何年になるのでしょうか。
    テレビでオグリキャップの最後の疾走を感動の涙でみた。
    有馬記念の姿は今も鮮明に記憶に残っています。
    オグリがきっかけでそれからしばらく競馬ファンになり馬券を楽しみました。
    乗馬経験は北海道の牧場で一度、林の中、手綱を持ちました。
    乗ってみて眺めているよりその高さに圧倒。
    勇壮な姿とは対照的にその目の何とも愛らしいこと!!

    1. そばで見ると意外に小型で驚きますが、さすがサラブレッド。その美しさには見とれてしまいます。そんな馬にまたがって見える景色も格別でしょうね。
      この倶楽部は一ヶ月15,000円くらいの会費らしいです。平日のせいか定年組と思われるカップルも多く、人気のほどが知られます。馬とともに秋の終日を過ごす。なんて贅役なんでしょう。

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